国際会計基準(現行の国際財務報告基準IFRS)が、世界でもっとも厳格であると言われる米国会計基準(米国GAAP)と同等とみなし得るほど高品質であるかについて検討した。ロンドンのSEAQ Internatonalに上場する企業を対象としたAshbaugh and Olsson(2002)では、利益資本化モデル(ECモデル)、自己資本簿価モデル(BVモデル)、および残余利益モデル(RIモデル)の相対的パフォーマンスが比較された。国際会計基準、米国会計基準のいずれを採用するかに関わらず残余利益モデル(Ohlsonモデル)のパフォーマンスが高いことが明らかとなった。また、国際会計基準を適用する企業の決算日の3ヶ月後における株価説明力は、米国GAAP完全準拠企業(US GAAP Reporter)あるいは米国GAAP調整表開示企業(US GAAP R econciler)の決算日の3ヶ月後における株価株価説明力を凌ぐと推計された。国際会計基準採用企業の財務諸表にもとづく株価説明力が米国GAAP採用企業のそれを下回ったことは、調査時点においては、国際会計基準が米国GAAPと同等とみなしえないことを示唆する。米国GAAP調整表に対する出来高反応分析し、SECが外国登録企業に米国GAAPの適用を要請したことの意義を説いた。これらに関する研究成瀬を日本会計研究学会第65回大会自由論題報告(2006年9月8日)において発表した。
|