研究概要 |
平成18年度は、NPM(New Public Management)の先進地方公共団体とされる組織を中心に、次の諸点についての実態調査(インタビュー調査)を行ない、業績管理制度を含む改革の背景要因や推進・阻害要因について取りまとめた。これは、19年度におけるサーベイ調査を行なううえでの問題意識、仮説の明確化の基礎資料となるものである。(1)組織を取り巻く環境およびその変化、(2)これまで取り組んできた行政改革等の系譜、(3)経営管理システムに関連する改革事項(予算・決算手続き,発生主義会計の導入,BSC(Balanced Scorecard)やABC(Activity-based Costing)などの管理会計システムの導入など)、(4)促進要因・阻害要因,改革の効果 インタビュー調査を行なったのは次の自治体、団体である。札幌市役所、三鷹市役所、町田市役所、逗子市役所、伊丹市役所、福岡市役所、仙台市役所、高知県庁、総務省、中野区、横須賀市、市川市、千代田区、横浜市、太田市、NIRA。 インタビュー調査を通じて得られた重要な発見事項は次の諸点である。 (1)行政評価システムへの導入は進んでいる一方で、事務事業評価においては、庁内負荷の増大、住民からの反応の小ささ、予算等内部管理システムへのフィードバックへの困難さが指摘された。また、施策評価については、指標設定における技術的困難さ、成果指標を活用した業績評価システム構築の困難さが指摘された。 (2)内部の経営意思決定力を高めようとするマネジメントシステムの構築に対する高いニーズが見られた。 (3)自治体の中には、事業部制管理、BSC、ABCなど、営利企業で活用されてきた経営管理システムを導入する自治体が見られた。しかし、必ずしも当初期待された効果を見出せていない自治体もあった。導入の成否は、導入、運用におけるノウハウが大きく影響していると推察された。
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