本年度の研究成果はつぎの3点に集約できる。 (1)本研究テーマである「集団投資スキーム」という概念に関連づけて、「エンティティとしての企業」に焦点をあてて会計、ならびに自律的統一的な意思決定の主体としての企業の会計のあり方について、明らかにした点である。それは、研究成果「企業統治の会計学への視座-「エンティティとしての企業」の会計の意義-」(『企業会計』2007年12月号)で検討されている。 (2)イギリスの年金制度のバイアウト・コストの開示をめぐる年金制度とその会計問題の検討を通じて、企業年金の債務が売買される市揚の生成と展開がみられること、それが集団投資スキームとしての年金基金の性格を大きく変更していることが、示された点である。 (3)公的年金制度も、またわが国だけでなく国際的にも、拠出された年金保険料が資本市場に投資されることに対応して「集団投資スキーム」の性格をおびていることが、指摘された点である。まさに、公私の年金基金が集団投資スキーム化し、会計(基準)のあり方が大きく変貌していることが、明らかとなった。 以上の点をふまえて、平成20年度において最終的な成果を示す予定である。
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