研究概要 |
平成19年度の2つの研究テーマに関して,次のように研究活動を行った。 テーマ1:医業収益,患者分配価値および病院分配価値の相互関係の解明 医業収益と患者分配価値と病院分配価値との間の関係を概念的にとらえると, (1)医業収益=f(患者分配価値)(2)病院分配価値=医業収益-患者分配価値となる。国内病院を対象とした実態調査によって,この3変数間の関係を実証的に明らかにすることを試みた。医療過誤,患者満足度,地方における医師不足の問題等々の本質を測定する重要な指標となることが,文献調査,地域医療調査の結果明らかになったと考える。ただ,主観的要素の高い患者の満足度の調査には,一定の課題が残ると思われる。 テーマ2:公益性・経営効率性に関する統括的評価指標の確立 テーマ1の内容を理論的にとらえるならば,「医業収益増加率>患者分配価値増加率」を保つことが,理想的な病院経営であることがわかる。病院経営の公益性と健全性とを同時に測定する指標として,重要な病院評価尺度となる次の数値の意義・位置づけを,公表されている病院の財務数値に基づき,評価することを試みた。 (1)患者分配率=患者分配価値/医業収益 (2)病院分配率=病院分配価値/医業収益国内病院を対象に調査した結果,数値に関し,一定有効性を証左できたと考える。
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