平成18年度の実態調査などの成果を踏まえて、既存の伝統的な管理会計手法や生産管理手法とMFCAの整合性に関する理論的研究を進めた。特に日本企業の製造現場に広く普及するTPM: Total Productive Maintenance)とMFCAの相違点と調和性に関して研究し、その成果をまとめた。また、製造工程を起点としたサプライチェーンでのMFCAの有用性に関して、実態調査を継続し具体的事例研究を重とめた。サプライチェーンなどの広範囲なMFCAの導入という視点から、MFCAのITシステム化に関しても、システムベンダーなどへのヒアリングなど研究を進め、システムのフレームワークを明らかにし、論文としてまとめた。以上の研究成果は、MFCAの実務への普及を加速し、今後のMFCAのISO化を支援する上でも重要である。 さらに、MFCAの環境負荷削減に関する機能強化という点で、製造工程もしくは企業プロセスにおけるエネルギー(温暖化ガス)の削減を目的とする環境管理会計情報を理論化するために、電力業の事例研究を実施した。エネルギー消費(温暖化ガス排出)をエンドオブパイプではなく、製造プロセスで削減するための環境管理会計情報に関する研究を行い、実務への適応を踏まえたフレームワークを構築した。 以上のような研究成果を日本語論文だけでなく、英語論文も作成し公表した。また、カナダ・ドイツ・タイ・中国への訪問や東アジアの研究者とのセミナーなどを通して、直接的に広く海外との研究交流を行い、地球規模での環境問題の解決に向けた環境経営の促進に貢献できるように研究活動を行った。
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