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瀬戸内地域の塩田開発に関する「家」と経営に関する資料を収集・整理し、精読をすすめた。塩田開発における家族と経営のあり方に加えて、地域社会、そして専売制との関連が経営の方向性を決定づけている。塩業の特性と地域性、時代性、そこに家族のあり方が関わっている。戦後の資料も収集しているので、その考察を今年度さらにすすめる。また、家業経営の戦後的展開について、インタビューに基づく事例研究をおこない、現在、記録をまとめているところである。ファミリービジネスについては、資料収集とあわせてシンポジウム、コンファレンスに参加し、内外のファミリービジネスに関する研究動向や社会的関心について討議した。今日のファミリービジネスのあり方については、主に経営学や実務者が関心を多く寄せているが、家族研究者がこれまで家業経営に関して行ってきた経営哲学や家族関係に対して課題が多いことがわかった。今日の社会経済的状況にあって、スモールビジネスやファミリービジネスを再生の鍵として注目する動きがあり、歴史と社会状況から家族経営のあり方を再度捉え直す必要性が再認識されつつある。このことは、家族研究者が歴史的視点をふまえながら、この問題にアプローチしていく重要性を物語っている。最近の研究動向からは、さらに、地域の再生というアクチュアルなテーマにとって家族企業への期待が多いこともわかった。歴史社会学的視点から、地域や経営の問題と現在の家族関係の接点を見いだしていくことは、単に歴史を明らかにすることにとどまらず、きわめて現代的な、アクチュアルな問題関心と接合しているのである。この点は、今後とも研究を深めていきたい。
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