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2008 年度 実績報告書

日韓の問題解決型行動におけるソーシャルキャピタル転換メカニズムの比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 18530374
研究機関新潟大学

研究代表者

渡邊 登  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (50250395)

キーワード住民投票 / 市民社会 / 公共圏 / social capital / 政治文化
研究概要

本年度の調査研究は、韓国と日本の問題解決プロセスを通じて現出しつつある社会諸関係及び政治文化の変容メカニズムを、特に韓国側に焦点を絞って、今までの日本に関する検討で明らかになった「新しい政治文化」型と「地方」の「文法」を規定する「(新しい政治文化と伝統的諸関係)折り合い型文化」の並行存立・共存関係と比較検討しながら、明らかにすることを目的とした。本年度は特に、地域社会のもつ諸特性を昨明らかにすることに焦点を据えた。
まず、過去2年間にわたる調査結果を再度詳細に検討し、以下の点を明らかにした。
1.今回の扶安郡における放射性廃棄物処理場建設という問題を解決するプロセスにおいて、全国レベルの市民運動団体が果たした役割は極めて重要であるが、それ以上に着目すべきは韓国において弱いと考えられていた地域社会の側のイニシアティブの強さであった。
2.したがって、扶安郡において、それがなぜ可能となったのかを探るためには、このイニシアティブを生み出している地域社会の特性、特に社会的諸関係の特質、またその基盤となっている「生活文法」を詳細に把握することが必要である。
3.そこで、同地域を包括的に把握しているであろうと思われる、放射性廃棄物処理場建設推進派のリーダー(元郡守、郡議会前副議長等)、現郡庁リーダー(現郡守、郡議会副議長)、郡担当者(郡守秘書室長、住民部局担当者、郡議会事務局)等へのインタビューを行い、以下の点が明らかとなった。
(1)地域社会における既存の社会関係(伝統的諸関係)が一定程度以上の規定性をもつこと
(2)しかし、それは面単位で相当の偏差をもつこと
これらを踏まえて、2009年度に繰り越した邑・面単位の各種リーダー層(群議会議員、セマウル運動指導者)等への詳細な聴き取り調査を行うとともに、韓国地域社会の歴史・現状に詳しい専門家(韓国農漁村社会研究所長)の意見を聴取し、扶安郡における既存の社会関係(伝統的諸関係)の規定性を再確認するとともに、他地域と異なる点として(同郡においても面単位で異なるが)形成過程における農民会等の農民運動の影響力の強さも明らかとなった。歴史的に既存の秩序構造と社会運動との協調・妥協・折り合い・対立関係の中でソーシャルキャピタルが形成されてきたことが扶安郡の事例における地域社会の側のイニシアティブを特徴づけている。今後は、この関係形成過程におけるその葛藤等の関係の内実を確認していく必要がある。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 韓国における地域社会のイニシアティブと市民運動2008

    • 著者名/発表者名
      渡邊登
    • 雑誌名

      ヘスティアとクリオ 7号

      ページ: 41-59

    • 査読あり
  • [学会発表] 日本の市民社会の構造-地域社会からの把握2008

    • 著者名/発表者名
      渡辺登
    • 学会等名
      日本政治学会研究大会
    • 発表場所
      関西学院大学
    • 年月日
      2008-10-11

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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