本研究は、これまで研究代表者が行ってきた計量社会学、歴史社会学的な研究手法を、公共社会学・規範的社会理論という新たな枠組みのもとで再構築するために行われており、本年はその中間年にあたる。 そのため第一に、これまでの少子化対策・人口政策・年金政策・女性政策がどのような理念のもとに形成され、変化していったかを歴史的な時間軸に置き直して再整理した。戦時期人口政策や、戦後の産児調節政策、1990年代以降の子育て支援政策などに関して、政策決定の1次資料や、新闘・雑誌記事などの2次資料を収集し、いくつかの専門的論文を執筆した。第二に、財政システム、男女共同参画、結婚支援などについて、現在の少子化対策や人口減少政策を支える理念について、既存文献により確認するとともに、政策担当者や政策形成に影響力を有した当事者(関係者)にも、できるかぎり直接的に面接して、聞き取り調査の形式で情報収集を試みた。第三に、公共社会学に関連する基本文献(公共社会学関連図書)をリストアップし、収集・購入する。公共哲学、公共経済学、批判的社会理論などの原著、翻訳書などに関する関連図書リストを作成し、実際に購入する作業を継続した。その過程で、年金制度や男女共同参画、子育て支援を国レベルで検討するだけでなく、グローバル化しか世界における地域間競争のもとでの地域政策、とりわけ「人口減少に対応した地域づくり」という課題を具体的に研究する必要性が生じ、それに向けての理論的検討を行った。
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