本研究は、女性非正規労働者の労働組合運動への参加と、労働組合側の女性非正規労働者に対する組織化等の戦略を合わせて考察することを目的とするものである。本年度も、全労連および連合に関する最新資料を入手し、既存資料とあわせて、パート組織化をめぐるナショナルセクターの動きについての整理・分析を行った((1)「ナショナルセンターレベルでの労働組合の分析」)。2008年の大きな動きとしては、全労連が、8月20日に「非正規雇用労働者全国センター」を発足させたことであり、2007年10月に連合が「非正規労働センター」を設置したこととあわせて、ナショナルセンターとしての組合がそろって非正規労働者の組織化に踏み切った意味は大きい。特に2008年秋以降は、全世界的な不況で、製造業を中心としたいわゆる「派遣切り」が社会問題化する中、両セクターとも「労働者派遣法」の改正問題を全面に出した取り組みがみられた。またJMIU(全日本金属情報機器労働組合)についてはの大きな動きとしては、12月に1400人という大量解雇を行った、いすゞ自動車において、期間・派遣社員がJMIUいすゞ自動車支部を結成し、2009年2月に開催された金属労働者東日本集会で決意表明を行うなど、動きが活発化している((2)「個別労組の分析」)。また(3)「丸子警報器労働組合の分析」については最近の状況についてのヒアリングを行い、これまで蓄積してきたケーススタディの入力を行った。
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