多様化・不安定化しつつある生活とそれに起因する新たな生活問題を的確に理解するためには、生活構造論の分析枠組を再構築する必要がある。本研究は、生活構造論の基本的発想や分析枠組に関する理論的・学説史的研究から、今後の理論的展開に向けた課題を提起することを目的としている。 (1) 1940 年代以降の生活変動を生活構造論がどのように分析したか、視野から落ちたのは何かを明らかにする。 (2) "媒介"機能に対する認識を中心に生活構造論を分類する基準軸を提示し、生活構造論の系譜を整理する。 (3) 生活問題・労働・社会問題への企業・企業家の対応は重要なテーマあるが、これまでの生活構造論ではほとんど検討されていない。独自の経営理念を主張した大原孫三郎・大原總一郎の思想を明らかにし、生活構造論の視野の拡大を図る。
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