オーストラリア政府のコンテンツ政策を検証するため、日本で情報を収集し、日本でも関心の高いオンラインコンテンツ規制に対するオーストラリア政府の取り組みを考察した。その結果、オーストラリア政府が国益という観点からもコンテンツ規制に関与しようとしていることが推察された。これは論文の形にまとめることができた。 次に、11月下旬に開催されたACMA(Australian Communications and Media Authority)の年次大会に出席し、オーストラリア政府の映像コンテンツ政策、放送コンテンツ政策を把握することを試みた。会場ではAFC(Australian Film Commission)、ABC(Australian Broadcasting Corporation)、ACMAの政策担当者に会うことができ、情報交換をするとともに、そこで話題となった字幕放送について把握しておく必要を感じた。そこで、ACMAの政策担当者、字幕担当者に聞き取り調査を行った。さらに、民間でその業務を積極的に推進しているMAA(Media Access Australia)代表に聞き取り調査を行い、オ」ストラリアの字幕放送の現状を知ることができた。以上については雑誌に発表した。 11月下旬にオーストラリアを訪れた際、現地でしか入手できない映像コンテンツ関連の雑誌を読み、そこで、政府の助成制度がオーストラリアの映像コンテンツ制作状況を必ずしも向上させてはいないという意見があることを知った。政府の助成については本年度の研究目標でもあったため、AFCに対してこの記事についてのコメントを求めたが、回答は得られなかった。 その後、日本で情報を収集しようとしたが、限度があったため、2007年3月上旬に再度、オーストラリアを訪れた。メルボルンの図書館で字幕に関する資料を入手できたこと、オーストラリアが積極的な映像コンテンツ戦略を展開しようとしていることなどが現地で推察された。これについては今後、逐次、まとめていく予定である。 18年度の活動はオーストラリアのコンテンツ政策の中でもとくに、オンライン、放送コンテンツ、映像コンテンツについて幅広く情報を収集することを目的に展開したが、シドニー、キャンベラ、メルボルンを訪問して関係者に聞き取り調査を行い、成果を得ることができた。今後の活動に生かしながら、研究を深化させたい。
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