1.総じて、東北地方の新規高校卒者の就職状況は、採用内定者率という点からみるならば、改善に向っている。しかし、東北の南3県(福島、山形、宮城)での内定者率は北3県(秋田、岩手、青森)に比べて高く、地域間格差が明確にみられる。また、前者で地元就職者が多数を占めているのに対し、後者では県外就職者が以前よりも増加傾向にある。地元における就業機会の多寡が東北地方を南北に分断する形で形成されている。 2.採用内定者率は上昇傾向にあるが、職種に関してはサービス業、事業所規模では中小規模に集中する傾向を強めている。高校卒者は一段と単純労働者化し、地域サービス業を低賃金で支える役割を担う状況にある。こうした就業状況が新規高校卒就業者の離職を促す大きな要因となっている。離職者率は依然として高いが彼らの再就職の機会は制約され、地域で不労者として滞留する問題が深刻化している。 3.したがって、東北地方において特に北3県を中心に、新規高校卒者の就職問題は深化する低賃金・単純労働者化、それに伴う離職者率の上昇、そして地域不労者としての滞留という若年世代に間に形成されつつある構造にどのように対応していくかにある。 4.各県労働局、職業公共安定所さらに各県行政機関などが状況把握しながら、新たな対応策の構築に取り組んでいる。高校による進路指導の範囲を超えた、地域および地方全体にとって積極的な取り組みが求められる、若年世代の新たな就業問題として位置づけられる。継続的な職業教育・訓練システムの構築と若年世代の参加機会の拡大をいかに確立していくかは、その一つの課題として改めて指摘できる。 5.アジアの若者世代をめぐる多様な課題について、研究成果の交流機会を韓国でもち、相互理解とともに共同研究に向けたネットワークを設けることができた。
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