研究2年目となる本年度は、対象をよさこい系祭りにしぼりこんで、以下の3つの活動を行った。 まず、第1は、前年の高知よさこい祭り・徳島阿波踊りに対予備的な調査を踏まえて、近年日本全国に活動が広まり、多くの若者が参加している、高知市のよさこい祭りを原形とする祭りに、実地に出かけて、視察と資料収集を中心とするフィールドワークをはじめたことである。今年度は、最大の分派である札幌のYOSAKOIソーラン祭りをはじめ、ひのよさこい(東京都日野市)、坂戸よさこい(崎玉県坂戸市)、朝霞彩夏祭関八州よさこいフェスタ(埼玉県朝霞市)、原宿表参道スーパーよさこい(東京都渋谷区)、東京よさこい(東京都豊島区)、ドリームよさこい(東京都港区)、よさこい東海道(静岡県沼津市)など、多くの祭りを視察し、会場や図書館で関連資料を精力的に収集した。うち、札幌では、代表的なチームの代表にインタビューを実施した。 第2に、こうしたよさこい系祭りと比較対照するために、徳島市の阿波踊りとその分派について、最大の分派である東京高円寺阿波おどりを中心的な対象として、視察および関連資料の収集を行った。ここで得られたデータは、前年度に収集した徳島市の阿波踊りや各種文献などから入手した全国の阿波踊りのデータとつき合わせ、さらにそれを1つ目の活動で集めたよさこい系祭りのデータと比較対照することで、よさこい系祭りとその参加チームの特徴を明らかにすることにある程度成功した。そして、その成果を、所属機関の紀要に論文として掲載した。 第3に、2007年に実施された関東圏のよさこい系祭りに限定して、参加チーム数による規模の分類と、チームの参加状況のデータベースの構築を図った。このデータは、「よさこいチームが、年間を通じてどのように動いているか」「それぞれの祭りはどのようなチームから構成されているか」を示すデータとして今後解析することで、最終年度の研究に多くの知見を生み出すものと思われる。
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