「間の文化」と関わる機能主義美学の文献を収集し、その読解を通じて「間」の文化が、「あいだ」、「余白」、「不協和による遠近法」、不協和な二項の媒介としての「判断力」、その結合としての「アブダクション」、その社会学的具体化としての「社会学的想像力」、「世間」、その方法的要としての「歴史的特殊性」の概念といった、「間の文化」の社会学的広がり列挙した上で、焦点を、従来から行ってきた社会学的想像力の問題と絡め、英語文献、日本語文献を収集整理した。本年度は、ミルズ『社会学的想像力』の評釈的な著作として成果をとりまとめ、出版した。 ミルズの社会学的想像力は、比喩的な表現を用いれば、「真っ白な液体に薄墨を流し込んで、できたマーブル模様の微細なところまでも記述し、そこに浮かび上がるイメージから、社会や人間に対する深い洞察を得ようとするようなものではなかったか?。」クリアカットする道具立てをあたえるようなものではないし、また突きつめた論理を提示しているわけでもないが、読むことでアンバランスにゆらめく思考が作動しはじめるようなのがミルズの作品の特徴である、そうした「場」に「間の文化」は、社会学的に定位できると考える。こうした「場の文化」を若者の実感指向、手応えを求める触覚文化と関わらせるため、マクルーハンの著作の検討を始め、他方でいくつかの観察、聞き取りを行った。
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