平成18年度の研究成果による理想モデルを基に、平成19年度で研究を具体的に推進する実証実験モデルの策定を行い、実証的研究を推進した。実証的研究を具体的に推進する実証実験モデルは、日本企業で通用する南米日系人リーダーであり、プロフェッショナルとして活躍できるIT分野の人材を養成することを狙いとした。この分野を選定した理由は、(1)自己の能力次第で企業化できる、(2)企業化時の投資リスクが少ない、(3)IT関連事業では、オフショアーといわれる海外の遠隔地間で受発注できる仕組みを取り入れることができる、(4)オフショアーは、研究成果の目的である日本と南米の連携システムの構築が容易にできる、などの利点があることによった。考案した実証的研究モデルをもとに、受け入れ日本企業を開拓した他、(1)コロンビア、(2)ペルー、(3)パラグアイ、(4)ボリビア、の南米諸国の日系人協会や商工会議所などで人材育成の具体的な実施方策の説明会、ならびに実証実験参加者の募集活動を行った。説明会と募集活動から得られた結果は、日本人移住地は農業主体であるため、ITに関する基礎知識のレベルが低く、モデルを円滑に進めるには基礎教育の推進が必要であることがわかった。また、考案した実証的研究のプログラムは、南米現地で大きな問題になっている若者の空洞化現象を解決する具体的な手段として効果的な提案との高い評価を得た。また、説明した全地域で、このプログラムの具体化を要望され、今後の具体的推進にあたり、現地各協会などが正式な窓口対応を行うとの協力提案が出された。本件研究成果を具体的に実施するに当たり、企業や協会、日本と南米との連携を強化するには、海外と横断的に活動できるNGO組織を設立し推進することがより適切であるとの結論も得た。
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