本研究は、大都市圏の1人暮らしの若者・青年層(10代後半から30代前半)に関する防災意識とその対応を明らかにすることを目的としたものである。都市部における一人暮らしの若者・青年層は多いものの、若者や青年は一般的には防災意識が低く災害対策への取り組みも十分ではないと考えられる。昨今、一人暮らしの防災意識や災害対策の問題は、高齢者をはじめとする災害時用援護者(いわゆる災害弱者)には注目が集まっているものの、一人暮らしの若者や青年層に関する問題について検討した成果はまだまだ少ないと思われる。そこで、大都市圏における若者・青年層を対象にして災害や防災の意識ならびに対策についての調査を行い、一人暮らしの若者・青年層の防災意識が向上するための指針と有効な災害対策を行うための課題について考究することとした。平成18年度は、調査会社のWEBモニターから一般性が検証できる形で抽出を行った上で2つのWEBアンケート調査を行った。まず、平成19年度から本運用を開始した気象庁の「緊急地震速報」についての関心の高まりから災害情報に特化した調査を実施し、次に災害に関する意識や対策に関する調査を行った。平成19年度は、平成18年度に実施したアンケート調査の結果を踏まえて、東京周辺・大阪周辺に住む一人暮らしの若者・青年にグループインタビューを行い、若者や青年層の防災意識や災害対策についての現状と課題を検証した。
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