研究概要 |
市販されている『ことわざ辞典』類は,目本という漠然とした単位の辞典である。せいぜい4万句ほどが収録されている。しかし,各地に市町村よりも小さな単位で「地方のことわざ」が存在することは余り知られていない。そこで,「ことわざによる日本の社会・文化」を考えるにあたって,本研究費により「地方のことわざ」を蒐集している。なお,本年度から「地方のことわざ」を「郷土のことわざ」と名称を変更した。 今年度は,東北地方,四国地方と岡山,兵庫の各県立図書館に行き,各地の(郷土のことわざ)を検索し,さらに未整理の資料などを見せていただき,これをコピーしてきている。そして,これを統一した一定の形式により文字データ化している。なお,直接各県立図書館を訪ねるのは,未整理の資料や貸し出し不可の資料を入手してデータ化するためである。また,記録されていない地域の確認を行ない,消えゆく危機にある「郷土のことわざ」に関して,「聞き取り調査による蒐集と記録」の呼びかけを各地の団体やことわざ伝承者に対して行なっている。 さて,文字データ化した(郷土のことわざ)は,各地の社会意識,習俗規範・規制,常識・非常識,相互作用のあり方(親子関係,夫婦関係,兄弟姉妹の関係,嫁と姑関係,近隣との地縁関係)などに分類して,集合させ,例えば「日本人の親子関係一般」ではなく「何々地区の親子関係」を分析するデータとしたい。さらに,全国の「郷土のことわざ」資料集を作成したい。おそらく10万句以上蒐集できると考えている。
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