研究課題/領域番号 |
18530413
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 恵泉女学園大学 |
研究代表者 |
李 省展 恵泉女学園大学, 人文学部, 教授 (10279664)
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研究分担者 |
内海 愛子 恵泉女学園大学, 人間社会学部, 教授 (70203560)
駒込 武 京都大学, 教育学研究科, 助教授 (80221977)
篠崎 美生子 恵泉女学園大学, 人文学部, 講師 (40386793)
内藤 寿子 湘北短期大学, 非常勤講師 (90367003)
上村 英明 恵泉女学園大学, 人間社会学部, 助教授 (90350511)
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キーワード | 戦後 / アジア・太平洋戦争 / 記憶 / ポストコロニアリズム / ジェンダー |
研究概要 |
研究初年度である今年度は、異なる専門分野を有する各メンバーが、自分のテーマを確認しながら、それぞれにディスクワークとフィールドワークを重ね、その成果を研究会で分かち合う方法をとった。 フィールドでは、内海愛子がオーストラリア・ニュージーランドでの抑留者の「戦後の記憶」の調査を本格的に実施したほか、研究協力者李泳釆も、「朝鮮人」の帰国事業とポリティクスの問題について、ジュネーブ赤十字で新資料の調査を行い、同じく研究協力者の姜信子も、アジア旧植民地における「歌」を介した人の記憶についての仕事をひとまずまとめ、篠崎美生子も長崎原爆と知覧特攻隊をめぐる語り・慰霊の方法の差異について調査を始めた。李省展代表も、これまでの個人の研究を発展的に継承し、韓国におけるキリスト教布教と学校教育の問題が1945年前後でどのように変化したかについての調査・研究を行った。 研究会はこの1年では四回行われ、6月に篠崎が、近現代文学がどのように「天皇」を語り、そのことによって、天皇の戦争責任についてどのような言説生産がなされていったかを報告、10月には内藤寿子が、アジア・太平洋戦争をめぐる大量の映画を分析し、その手法と影響力の変遷、および現状について報告、12月には駒込武が、「戦後」日本と台湾史について、アジア・太平洋戦争後の台湾が辿った政治的に複雑な道と「日本」の位置づけの問題について、またそうした状況下で「言葉」がなし得ることについて報告、3月には上村英明が、アジア・太平洋戦争における沖縄が必ず「唯一の地上戦」が行われた場所として特権化されるに至ったプロセスと、それに反する運動のポリティクスについて、時間的・空間的に大きな視野から報告した。 「戦後の記憶」を実態として捉えるというよりも、言説生産の背景となったポリティクスにメンバーの関心が集中していることが確認できるであろう。来年度以降は、このことを前提に、各自の研究のすりあわせを行えるよう努力していきたいと考えている。
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