平成18年度に引きつづき、研究代表者は国内関係機関と連絡を取り、1970年代以降の記念切手についての資料の閲覧と必要箇所の複写作業を開始した。これと併行して、2007年8月にタイ・バンコクで開催の国際切手展<BANGKOK2007>に参加し、大蔵省印刷局製のタイ切手についての調査を行った。 その成果の一部を、1979〜85年の期間に発行された記念・特殊切手に関する基礎資料の集成として『(解説・戦後記念切手VI)近代美術・特殊鳥類の時代1979-1985』を上梓するとともに、2008年3月に台北で開催の国際切手展<TAIPEI2008>で発表した。 しかし、同書は、あくまでも当該時期の記念切手についてのデータベースという色彩が濃いため、今後は、同書の編纂作業を通じて浮かび上がってきたさまざまな問題点について、より深く考察していくことが必要となろう。具体的には、(1)当該時期は、労働運動が郵便事業の現場に与えた影響は大きかったが、そのことは切手発行政策の実務にどのような作用をもたらしたのか、(2)1970年代以降、わが国では対外関係に関する切手が急増するが、逆に、諸外国は切手発行政策と対日政策の関係をどのように考えていたのか、(3)当該時期は切手印刷の技術が飛躍的に向上したが、大蔵省印刷局が製造を受注した諸外国の切手と日本切手では印刷物としてどのような差異があるのか、といった点など重要な問題点として考えられる。 これらについては、今年度の研究成果を踏まえた上で、今後とも分析を重ね、今後1〜2年を目途に、『メディア史研究』等の学術雑誌において、その成果を発表する予定である。
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