本研究の目的は、急激に発展するユビキタスネットワーク社会において、高齢者や障害者を含めたユニバーサルな情報化社会を実現するための社会的な援助をシスティマティックに確立することである。とくに、情報弱者(障害者や高齢者)が支援に参画することに注視し、支援全体が総合的に機能するように、(1)情報化支援の活動モデル、(2)機能の抽出、(3)モデルの洗練、(4)評価基準の策定、(5)標準化の5つの目的をPDCAを繰り返しながら段階的に実施する。 平成18年度は、本研究の初年度であることから、モデルづくりの基礎調査として、国の施策と地域の実情の比較検討のための資料収集と試行に主眼を置いて研究を行った。 具体的には、地域ボランティア団体で実施されている情報化支援(高齢者、障害者)の調査を行い(東京、京都、高岡、富山)、ボランティアを養成するにあたって必要な講座内容の検討を進めた。さらに先行的な試行として、ボランティア団体で実施する養成講座などの企画、テキスト作成、講師を担当し、実際の地域の実情にあった支援者をどのように養成するかの実証実験を行った。ここでは、支援者の資質(コミュニケーション能力)の必要性を明らかにした。この際に作成したテキストは今後養成講座で活用し、改善しながら標準化する予定である。また、参画者同士の理解を助けるため、情報共有の方法として、情報の多様な可視化が有効であることを大学の教育現場でも検証した。 来年度以降は、支援者・被支援者双方の参画の仕組みについて、当事者だけでなく、行政、企業、大学などがどのように共同していくのか、地域の実情にあわせたモデルとコミュニティのあり方、情報共有の方法について、フィールドワークを通して研究を進める予定である。
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