(1)西和賀町と対照地である島根県大田市(441)、岩手県岩泉町において、集落自治会に対する自治会活動に関する悉皆調査を行った。合併は、それぞれ、対等合併(31自治会)、吸収合併(441自治会)、非合併自治体(101自治会)である。また西和賀町長'瀬野地区と岩泉町鼠入地区において詳細聞き取り調査を行った。前者は、昭和47年に集団移転した新集落自治会、後者は高地/過疎/小規模集落である。これらと並行して前年の補充として国勢調査/町丁別集計による当該市町村の分析を補充的に行った。 (2)合併の影響は、住民の集住形態が散居型である島根県では、「限界集落」化が進み、住民の危機意識が高く、比較的集落規模が大きく、集合性が高い岩手ではやや低いという結果がみられた。また、積雪と交通の利便性が低い集落ほど大きいという傾向が見られた。 (3)集落での具体的な地域活性化の取り組みは、地域条件よりも地域リーダーの考え方、リーダーシップに負うところが大きいという傾向がみられた。 (4)集落の福祉的機能という点では、全体として、過疎化、高齢化、共働き化などにより集落のまとまりや活動力が低下してきているが、市街地よりは農村部、全般的な自治会活動が活発であるほど果たす役割が大きいという結果が見られた。 (5)住民一役員の意識は高いが、福祉的活動は、他の活動と異なる受け止め方をしており、その支えとして、何らかの公的な支援、助言を強く求めていることがわかった。 (6)伝統型ではない集落自治会の福祉的機能の転換には、住民の主体性だけではなく、活動形態やその母体にあり方も含め、価値意識の転換が求められていると言える。
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