研究目的:児童福祉機関・施設での日常業務において発見されずらかった重複した問題のある児童と家族に接近できる方法の一つとして保育や家事サービスを家庭訪問し、家庭に滞在して届けるアウトリーチ型サービスプログラム開発を目的とする。今回はその予備調査の一貫でパイロット・スタディーを実施し、その過程で生じる実施に際しての課題、ニーズ内容、家族状況、家族の担う課題など基礎的データを収集する。 研究成果:1)調査過程(1)個人情報保護法上、研究に協力していただける家族を公募した。チラシを関係機関の窓口に1月ほど置いた結果、8名の協力応募者があり、事前訪問の面談により、ニーズ優先度の高いと予測される順に5名の方を決定した。(2)実施直前に、調査参加予定メンバーと1日研修を実施し、家庭訪問をして起こりそうな状況を設定したシミュレーション中心の研修を実施した。簡便なマニュアルも作成した。(3)家庭訪問は、9月中旬〜12月中旬まで週1回、2〜3時間を実施し、継続を是非とも希望する方のみその後の2ヶ月を実施する予定で開始された。家庭訪問開始時と終了時に「家族支援ニーズ調査票」を配布、記入後、1週間以内に回収した。2)研究結果(1)5名ともそれなりの緊急なニーズ(異性の双子や障害児を含む3子の保育、育児不安、母親の病弱、切迫流産の危機)があり、一歩間違うと虐待につながりかねないほど母親のストレスは高かった。(2)調査票では、一応に家庭訪問サービスの有意義なことを評価し、有料でも利用したいという希望が述べられた。(3)提供側の課題には、イ.家事の範囲のあいまいさロ.子どもの送り迎えに自家用車を利用することハ.近隣以外の遠くに電車・バスを利用して外出することニ.専門機関へのつなぎ方についてなど課題が挙げられたが、解決される見込みもあり、実施可能なサービス提供形態であると確信の持てる結果が得られた。
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