研究最終年度でもある今年度は、これまでエコシステム研究会として積みあげてきたコンピュータ活用による多目的支援ツール開発の研究を基盤とし、精神保健福祉領域で用いる実践支援ツール開発へ向けた基礎固めのための聞き取り調査(マディソン・モデルの研修含む)及び検証と新著書出版へ向けての打ち合わせを中心に行った。 具体的には、(1)精神保健福祉領域に焦点化したツール開発に向けて、精神医学ソーシャルワーカーやその経験を有する研究者へ試行版をインストールしたノートパソコンを持参し、実際に各自の事例を想定し、入力してもらい検証を行った。その結果、貴重な意見とともに現状のアプリケーション・ソフトの限界も明らかになってきた。 (2)諸般の事情で出版が遅れているが、実践支援ツール開発へ向けたこれまでの研究の積み上げを実践過程研究に焦点をあてた研究書として『ソーシャルワーク実践と支援科学』として発刊予定である。それらの準備、各執筆部分の調整などの打ち合わせを頻繁に行った。 (3)このような研究活動の継続から、精神保健福祉領域で活動するコメディカルスタッフやピアサポート活動に従事する利用者の方たちとともに、利用者が中心となり多様な活動を展開している北米のマディソン地域への研修会参加する機会を与えられた。実践過程への利用者参加の方法について大きな刺激を受けた。 (4)精神保健福祉領域における研究を継続する中から、いわゆる処遇困難事例と呼ばれるような状態にある家族への支援(なんらかの形で精神保健福祉領域との連携が必要)の重要性を認識することができた。ハイリスクな状態にある利用者システムへのチーム・アセスメントを支援するツールの開発へと視野が広がった。などである。
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