研究概要 |
平成19年度の研究実績報告としては、以下の点が挙げられる。 障害を持つ入々に対する権利侵害について当事者の視点からその実態を把握するため、日本全国の各障害者団体に依頼し承諾の得られた団体を通して、肢体不自由障害を持つ人々1,000名、脊髄損傷障害を持つ人々3,300名、合計4,300名に対して郵送によるアンケート調査を実施した。実施期間は、2008年2月1日〜3月20日までとした。 肢体不自由障害を持つ人々に関しては、564名から有効回等が得られた(有効回収率56.4%)。男性319名・女性237名・無回答8名で、平均年齢は30.7歳だった。「あなたはこれまで利用した機関で怒鳴られたことがありますか」という問に対し、「ある」と回答した場所として職場が9.8%、施設が11.3%、病院が3.7%、学校が16.0%となっていた。「殴られる」等の身体的虐待に関しては、職場が3.2%、施設が8.3%、病院が1.6%、学校が11.3%となっていた。「食事を無理やり食べさせられたりしたことがあるか」という問に対し、施設が6.7%、病院が4.1%、学校が5.7%となっていた。 脊髄損傷障害を持つ人々に関しては、1013名から有効回答が得られた(有効回収率30.7%)。男性866名・女性142名・無回答5名、平均年齢59.7歳だった。「怒鳴られたことがある」という問に対しては、職場が6.5%、施設が4.4%、病院が7.2%、となっていた。また「身体的虐待」については、職場が1.1%、施設が1.5%、病院が1.7%、となっていた。さらに「食事に関する権利侵害」については、施設が1.1%、病院が2.7%、であった。肢体不自由障害を持つ人々の権利侵害が「学校」における発生が高いのに対し、脊髄損傷障害を持つ人々に関しては権利侵害の発生比率は極めて低かった。
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