研究課題/領域番号 |
18530450
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
島津 望 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (90306225)
|
研究分担者 |
栃本 一三郎 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (90286758)
佐藤 貴一郎 国際医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (70205904)
中島 明彦 日本福祉大学, 福祉経営学部, 教授 (50326956)
|
キーワード | ネットワーク / 実践共同体 / クラスター性 / スモールワールド・ネットワー / 地域連携パス |
研究概要 |
1.社会的ネットワークに関する理論をサーベイして、地域医療・介護のネットワークを分析する理論枠組みを作った。それを用いて次の2つの地域事例を分析した。 2.尾道市の事例研究結果(1)少なくとも病院主治医・診療所主治医・ケアマネジャーという三者によるネットワークのクラスター性がみられる(multidisciplinary)。(2)ケアに関わる多職種がケアカンファレンスを主な情報交換の場としているので、ネットワークの平均次数が大きくなりすぎない。(3)ネットワーク形成の要素である「ルール」「ロール」「ツール」がある。(1)「ルール」:ケアカンファレンス出席までに事前資料を読み込むこと、それにしたがって主体的に出席することが規範として成立していることなど。(2)「ロール」:長期継続ケアの各プロセスにおいて専門的能力を発揮する役割、ケアカンファレンスにおける専門的立場から提言する役割の認識など。(3)「ツール」:CGAに基づくケアマネジメントシステムを、医療と介護の共通言語にしていることなど。(4)実践共同体(community of practice、協働に基づく知識創造の場)がある。(1)ケアカンファレンスを通じて、ケアマネジャーおよび各専門職の知識習得、知識創造がなされている。(2)利用者が地域包括ケアの利用のしかたを学ぶという意味において、利用者の知識創造もなされている。 3.熊本市の事例研究結果(1)急性期と回復期の医療ネットワークが構築されているが、その基盤に各種の医療研究会がある。これにより、「能力に対する信頼」と「善意に基づく信頼」「約束遵守の信頼」が形成されている。(2)この研究会は開かれた構造をもっており、クラスター性があると同時に、狭義のスモールワールド・ネットワークを形成している。(3)地域連携パスを用いて、情報共有と治療とリハビリの継続性の相互確認ができる仕組みをもっている。(4)次年度は、この仕組みを数量的に検証することになった。
|