研究概要 |
本研究では、基礎調査を3つ実施した。1つは、介護保険改正直前のN県下すべての特別養護老人ホーム職員のターミナルケア意職調査であり、さらに老人保健施設職員のターミナルケア意識を調査して特養と比較をした。特養施設職員は5割強が施設での死の看取りを積極的に考えており、その意識には、職種,年齢,看取り人数および職務経験年数,施設の立地場所が関連した。すなわち介護・看護職員より相談職が、年齢の若いスタッフが、看取った経験のある人が看取りに積極的であった。一方施設の比較では特養が老人保健施設より積極的であった。 3番目の調査として、2つの県で介護老人施設での看護師のターミナルケアに関するジレンマを調査した。看護師のジレンマ内容は、システムやチーム意識というよりく本人・家族のケアの難しさ〉が一番であった。 以上の調査結果から、介護支援職への研修としては、「終末期の身体アセスメント」および「家族ケアの方法」が重点課題であることが判明し、研修プログラムを作成した。 2年目は調査のかたわら、介護老人医療施設での「ターミナルケア研修」および在宅ケア支援として、ケアマネージャーに「ターミナルケアの基本と支援」の研修を行った。研修効果として終末期ケア全般の理解度は高くなったが、スピリチュアルケアや倫理調整、社会的問題も絡んだ家族支援への困惑がまだ大きいことが明らかとなった。今後は研修方法としてワークショップ等の方法を取り入れつつ、実践を積み上げる(経験知を増やす)ことが重要であることが示唆される。 本研究では、調査、研修ニーズの明確化、プログラム作成、研修の実施・評価を行い、随時学会および論文で公表すると共に、介護保険法や自立支援法の実際の問題、地域(コミュニティ)支援のこと、家族支援方法論もあわせて研究を行った。
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