今年度の研究経過は以下のようである。1.デンマークの認知症ケアことに在宅での生活を継続さするためのプログラム実践の情報収集とその分析、2.認知症ケアに対する地域包括支援の実践分析、3.2の一環としてデンマークの自治体による認知症ケア"協力モデル"の実態分析とその評価、4.さらに、2の一環としてデンマークにおけるハンデキャプ福祉行政の実態とその評価、5.認知症高齢者介護家族への継続的ヒアリング調査を行なってきた。 1については、デンマーク市郊外にあるデイホームをフィールドとして、そこを利用する認知症の高齢者の状況調査と家族へのヒアリング調査を実施し、「日中ケア」プログラムの効果と、利用者と職員の関係のあり方などについて分析を行っている。2については、わが国の認知症ケアの先進自治体を精査し、認知症ケアの取り組みの実態と政策評価分析を行っている。また3については、デンマークのスベンボー市(認知症ケアの先進自治体)へのヒアリング調査を実施し、そこで取り組まれている医療・保健・福祉の包括ケア(協力モデル)の実際について分析を行っている。さらに、その協力モデルを日本に応用する場合の適合性と差異性について、愛知県のI市をフィールドにして検討を行なってきている。I市では市行政との共同で、市民向けの認知症啓発活動や住民アンケート調査を実施し、デンマークのスベンボー市における協力モデル導入にあたっての課題整理とその有効性についての分析を行なっている。4については、デンマークのオーフス市で実践されている在宅生活維持継続のための福祉行政についてのヒアリングを行い、その改策評価を行なっている。さらに5については、継続して行なってきている調査であるが、認知症高齢者介護家族への半構成的調査を実施し、介護家族関係の変化、医療・福祉サービス利用の経年変化とその要因分析を個々の事例を通して行っている。
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