本研究のねらいは、認知症高齢者ケアを地域ケアレベルにおいて継続可能なシステムを構築していくことにある。本年は、デンマーク・スヴェンボー市の「協力モデル」を参考としながら、愛知県下のI市において、応用・検証のためのモデル事業に取り組んだ。まず、認知症に関する知識の共有化を図るため、「認知症サポーター養成講座」を市とめ共同で実施し、養成講座を受講したボランティアによる巡回型講座を市内で実施し、市民への啓発活動を実施した。それと並行して、地域包括支援センター、在宅介護支援センター、保健センター、介護保険担当部局の専門職による「要支援者」の発掘、定期的訪問活動を実施し、早期発見・早期対応のしくみづくりに関する事例研究を実施した。この結果、介護保険制度の対象であるにも関わらず介護認定を受けていないなど、制度から漏れてしまっている認知症高齢者の存在を発掘し、サービス利用に繋けることができた。このようなケースは、高齢美婦での暮らしが長く続き、お互いの状態把握の客観性が欠けてしまうということや、息子とは家旗との同居ゆえに対象となりにくいという特徴がある。また、開業医など地域医療に携わっている医療関係者の認知症に関する関心の低さから、初期の段階での発見を困難にしていることも明らかとなった。デンマークの「協力モデル」は、医療と行政、福祉サービスとの連携がその特徴であり、そのキーパーソンとなっているのが「認知症コーディネーター」であることから、わが国の場合、医療と行政(保健・福祉)と福祉サービスとの連携システムを構築するためにも、地坂で甲核となる謎知症ケアの専門職化が不可欠である。
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