本研究では、公的年金制度(特に基礎年金)の貧困防止機能を明らかにするために、OECD諸国の基礎年金の国際比較と日本の基礎年金改革の歴史研究を行った。その結果、OECD諸国の基礎年金は「ベーシック・インカム型年金」、「準ベーシック・インカム型年金」、「セーフティネット型年金」、「保険原理型年金」の4つに分類することができ、日本の基礎年金制度は貧困防止機能が最も弱い「保険原理型」であることが明らかになった。また、2004年に行われた年金改革によって、基礎年金の給付水準が大幅に引き下げられため、その貧困防止機能の脆弱化が明らかになった。
|