研究目的は、「ヒューマンサービスに従事する援助専門職を対象とした実用性、汎用性の高いティーチィング・メソッドの開発」「現任者教育演習に活用できる教材の開発」であり、本年度の研究実施計画に基づいて以下の作業を遂行した。 1.援助専門職に対する現任者訓練等の実施を通じて既に蓄積してきたデータの分析と国内外の教材の収集等を行った。また、研究会を実施して、今年度のデータ収集方法を確定した。 2.マルチメディアを使用した新たなデータ収集と、利用者や専門職に対するインタビュー調査を行った。 ・利用者と専門職の言語交渉だけでなく、周囲の環境や相互交渉を成り立たせている場面における身体、物、ツールなどの配置にも焦点をあてた観察を行うために、フィールドノーツを作成すると同時に、複数の定点からビデオ撮影を行った。また、データ収集後はカンファレンスを実施して、現場のスタッフとデータの検討を行った。 ・新たに収集したデータは、 (1)統合失調症の人を対象とした集団療法の場面や利用者へのインタビュー調査、 (2)認知症のグループホームケアの実践場面や利用者へのインタビュー調査、 (3)利用者や援助専門職に対するフォーカスグループインタビュー等であり、その成果の一部は学会に発表した。 ・吉村夕里.相互交渉はいかに構成されるのか:統合失調症の人を対象とした面接場面の分析から.第42回日本心身医学会近畿地方会.京都テルサ.平成18年7月.単独発表. ・玉城栄之助・青木信雄・吉村夕里他.エコマップを活用した強みアセスメントの試み.第7回日本認知症ケア学会大会.札幌コンベンションセンター.平成18年10月.共同研究. ・専門職が精神障害をもつ人に使用するツールの問題を扱ったインタビユー調査結果の一部を学術雑誌に発表した。 3.昨年度に引き続き、援助専門職に対して現任者訓練等を実施して、プログラム評価等のデータを追加した。
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