研究課題/領域番号 |
18530467
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
松端 克文 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (90280247)
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研究分担者 |
上野谷 加代子 同志社大学, 社会学部, 教授 (40123583)
杉崎 千洋 島根大学, 法文学部, 助教授 (60314613)
川井 太加子 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (70441102)
金田 喜弘 佛教大学, 福祉教育センター, 講師 (10411109)
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キーワード | 地域福祉 / コミュニティソーシャルワーク / コミュニティソーシャルワーカー / コミュニティワーク / ガバナンス / システム理論 / 機能分化 / グラウンデゥド・セオリー |
研究概要 |
大阪府では府の単費事業として2004年度より、援護を要する高齢者や障害者などへの直接的な支援だけでなく、セーフティネット体制づくりや地域福祉の計画的推進の支援などを業務としたコミュニティソーシャルワーカー(以下、CSWとする)を概ね中学校区において配置する「コミュニティソーシャルワーカー配置促進事業」が実施されており、2007年度末では対象となる39市町村・247中学校区のうち37市町村で133人の配置されている。 本研究ではこうしたCSWへのインタビュー調査をもとに、業務内容や取り扱い事例などを分類・整理し、二クラス・ルーマンのシステム理論をもとに分析することで、「コミュニティソーシャルワーク」として期待され、実施されている実践内容を整理するとともに、CSWとしての実践だけでは包摂しきれないコミュニティワークとしての課題を明らかにした。 CSWの業務内容の特徴のひとつは、総合相談などにより把握された個々の住民の抱える生活課題の解決を図ることにある。このようにCSWの実践は、「住民の抱える生活課題の解決/未解決」という二分コードを通じたシステムとして存在する。この場合、地域は手段化、資源化される。 一方、住民の抱える「生活課題の把握」やその「解決」がうまく図られるためには、その基盤としてソーシャルサポートネットワークなどが形成されている、あるいは形成されやすいような地域であることが必要となり、そのような地域にしていくためのはたらきかけ(=コミュニティワーク)が求められる。しかし、そのシステムは先の二分コードからは排除され、機能分化した「地域のガバナンス構築/地域のアノミー化」という二分コードとして存在する。そこでは地域の自治化あるいは共同化が重視される。 コミュニティソーシャルワークを推進していくためには、それとは機能的に分化しているコミュニティワークの実践と地域におけるその蓄積が不可欠であり、この2つの実践上のシステムが相互に関連しつつ自律的に作動していけるような取り組みが求められる。
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