研究概要 |
本年度は昨年度の継続研究であり,本年度の申請書に示した研究目的に沿って,キリスト教社会福祉研究者及びクリスチャンソーシャルワーカーなど,既に先行研究の調査対象者である10名に対してインタビュー調査を継続的に実施した。これは,従来からのキリスト教思想並びに価値を基盤とする社会福祉援助の概念図(試案)及び聖書理解を検証す登ための継続的質的研究の一環である。調査対象者の10名の内訳は,研究者6名,福祉実践ソーシャルワーカー及び施設長など管理者4名であった。一方で,日本キリスト教祉会福祉学会がキリスト教社会福祉の独自性及び特徴を明らかにする目的で調査研究委員会(高森敬久委員長、愛知県立大学名誉教授)を組織した。報告者は委員の一人として,学会員を含めた442名に対して郵送法によるアンケート調査を実施した。得られたデータは143名であり,直効回答率は32.4%であった。主な調査内容は(1)資格,(2)職種,(3)研究分野,(4)宗教,(5)キリスト教社会福祉の独自性及びコア等であった。調査期間は2008年10月5日〜同年12月7日であった。キリスト教社会福祉の独自性及びコアに関しては,「聖書」と回答した者が最も多く,57名(14.8%)であった。次いで「祈り」が39名(10.2%),「個人の尊厳」37名(96%),「平和」31名(8.1%)となった。門脇(2001)はキリスト教福祉の根幹は「聖書」であると示していることからも今後の内容的分析とクロス集計による多角的考察が求められる。次年度においては,とれらの量的調査に加えて,先に示した質的調査の視点からもキリスト教社会福祉援助観の独自性を考察していく必要がある。
|