自己開示をする開示者は、開示を行うリスクは伴うものの、開示によって心身ともに恩恵を受けることがPennebakerをはじめとする多くの研究者によって明らかにされている。しかしながら、そうした自己開示を受ける受け手にとっては、そうした開示は必ずしもポジティヴな効果をもたらすものではなく、多くの場合にはかえってネガティヴな効果をもたらすことが示唆されている。そこで、本研究は、開示者の自己開示による受け手の負担感をいかにして低減するかを目的としている。そのため、(1)本年度は開示を受ける際の視点取得を変えることによって負担感がどのように変化するのか、(2)開示の受け手が自らと開示者とをどのようにカテゴリー化するのかによって負担感に変化がみられるのか、についての実験を行った。おおむね仮説を支持するような結果がえられた。こうした実験からの結果については、平成19年度以降に学会発表や雑誌論文として発表していく予定である。 さらに、本研究の目的に関連して、開示自体についても検討をすすめることが必要である。すなわち、いかなる自己開示であるのかによっても負担感が異なる可能性がある。そこで、こうした示唆を得るために自己開示自体についても検討した。具体的には、自己開示量ならびにその肯定(親密)度とその開示への好意度については、逆U字型の関係がみられるというのが一般的な説明である。しかし、最近の自己呈示に関する異文化間比較研究における知見から、自己開示の量、あるいは肯定度が高まっても、好意度が低くならず、かえって高まるという二次曲線的な関係ではなく、一次直線的な関係が見られることが考えられる。そこで、この仮説を検証する実験を行い、仮説が支持された。この実験について、平成18年度の日本グループ学会において、口頭発表を行った。
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