研究概要 |
本研究全体の目的は,ある程度の相互作用が繰り返された友人と,親密な対人関係が形成された段階および,関係の崩壊段階において,対人関係のありようにどのような特徴がみられるかを文化差の問題と照らし合わせながら明らかにすることである。とくに関係持続の長さの予期,親密な関係が揺らいだ場合の葛藤の質などを文化的に検討し,対人関係の親密化と崩壊過程における日米文化差を抽出することである. 昨年度は,a)友人と親友の境界を明らかにする調査(日本のみ),b)対人関係の葛藤場面における対処方略調査(日本のみ),c)友人関係イメージに関する日米調査,の3種の調査を実施した. a)友人と親友の境界調査では,親しい友人(親友)とあまり親しくない友人をそれぞれ3人ずつ列記させ,その友人との関係を様々な角度から尋ねた。その結果,男女とも親友に対して悩みを打ち明けたり,友人との長期的な関係を望んでいることが確認された.一方,付き合い方の具体的な内容で男女間に違いがみられ,女性のほうが男性よりも年賀状のやり取り,誕生日のやり取りなどを親友との特徴的な付き合いの中で上げる傾向が多くみられた。b)対人関係の葛藤場面調査で,日本人は「関係修復」「冷静対応」「怒り反応」などの対応を示すことがわかった。c)友人関係イメージ調査については現在データコーディングが終了し,今後アメリカ共同研究者と協力しながら,分析を進めてゆく段階である。 また昨年度は,近年発刊された新しい文献等の収集も行い,文献的検討を進めた。
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