研究課題/領域番号 |
18530491
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
田中 知恵 昭和女子大学, 人間社会学部, 講師 (50407574)
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研究分担者 |
村田 光二 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (40190912)
藤島 喜嗣 昭和女子大学, 人間社会学部, 助教授 (80349125)
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キーワード | 社会的情報の処理 / 感情制御過程 / 感情改善方略 |
研究概要 |
1.感情改善方略に対する期待感を実験的に操作し、情報処理に対する影響について検討した。実験参加者に自伝的記憶の想起と音楽聴取によりネガティブ感情を導出した後、別の課題として感情のコントロールに関するエッセイを呈示した。このエッセイの内容により、感情改善方略に対する期待感を操作した。さらに別の課題として、映像刺激により説得メッセージを呈示した。その際、映像の背景音楽によりポジティブもしくはネガティブな感情状態を予期させた。説得メッセージの印象ならびに内容への興味について測定したところ、感情改善の期待感が高く、ポジティブ感情を予期した条件の得点が低かった。説得メッセージの内容に対する記憶再生指標の結果については現在分析中である。 2.感情制御が自動的なプロセスであるのか検討するため、感情の予期を非意識的に操作する手続きについて予備調査を実施した。実験刺激とする単語を選択するため、120語に対する感情評定を実施した。選択されたニュートラル語を、ポジティブ語やネガティブ語と対呈示することで、ニュートラル語に対して非意識的な感情的連合をつくり出すことが目的であった。また感情操作のための映像刺激を選択するため予備調査を実施し、ポジティブ映像・ネガティブ映像を選出した。これらの刺激を用いて今後実験研究を実施する予定である。 3.感情改善方略に対する期待感の個人差が、方略の使用を通じて感情状態の改善を予測するのか、調査研究により検討した。その結果、ネガティブ感情の改善方略に対する期待感が高い人は、ネガティブな出来事を経験しても抑うつ的にならないことを確認した。さらに、そうした効果はポジティブな出来事を経験した人において顕著であることを確認した。これらの成果は学術雑誌に投稿中である。またこの個人差を用いて今後実験研究を実施する予定である。
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