研究概要 |
遠藤・柴内・内田は、現代社会において、コミュニケーション・メディアが、人間関係の維持にどのように貢献しているかを、ランダムサンプリングにより抽出された成人を対象に検討した.その結果、個々人の社会的相互作用への態度により、携帯電話やPCメールなどのメディアの利用の仕方が異なり、各メディアの異なる性質が、社会的相互作用の異なる持ち方を促進していることが示唆された。 廣瀬は、従来のわが国の伝統的な会社=従業員のものという会社観が、90年代末から現在まで、大きく揺らいでいるため、この間の日本の大企業の経営機構の変化を分析することを通じて、限られた視角からではあるが、わが国の会社観の「いま」を捉えようとした。暫定的な結論としては、ヒトの絆としての会社観はいまだ健在である一方で、モノとしての会社観との理論的整理の必要性が課題として残されていることが示唆された。 高木・戸口は、20〜30代の青年(1000名)が自分と両親との絆をどのように意識し,また絆に関する評価が親子関係満足度とどのように関連するのかを,絆の心理的効用という視点から検討した。その結果,母子間の絆がもたらす心理的効用の方が父子間のそれよりも高く,また娘の方が息子よりも高く評価をしていた。さらに,子どもはその性別を問わず,絆の心理的効用を感じれば感じるほど,親との関係満足度が上がることなどが示唆された。 高木・鬼塚は、看護師チームの具体的なTeam Competencyの抽出と、Team Competencyに関わる入間関係の実相を把握するために内科病棟の看護師28名に面接調査を行った。その結果、病棟・チームに共通のTeam Competencyと、チーム特有のTeam Competencyが見出された。Team Competencyの獲得には、チーム内で効果的に社会的相互作用が行われていることが要件となり、メンバー間での相互信頼関係が築かれていることが影響することが示唆された。
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