研究課題
目的・計画 本研究の全体的な目的は以下2点である(1)広汎性発達障害を中心とする発達障害児の知識構造とその発達的変化について調べる(2)統合失調症患者における知識構造衰退の要因について、発達障害児との比較・考察する。上記目的に関し、平成23年度は前年度までに未完了であった語流暢性課題データの収集を行った。特に発達障害児との対照として、健常児データの収集及び分析を進めた。実施内容 健常児に語流暢性課題を実施し、発話語数について語彙年齢と生活年齢群に分け分析した。また知識構造を推定するために、カテゴリ流暢性課題の発話に基づきクラスタスコアを算出した。結果・考察 カテゴリ流暢性課題については、発話量及びクラスタスコアに生活年齢の群差が見られなかった。語彙年齢群差がみられたが、必ずしも語彙の高さに応じた成績ではなかった。これら結果は、幼児においてはカテゴリ知識の構造化が未発達であり、連想による検索が難しかった可能性を示唆している。文字流暢性課題については、生活年齢群差・語彙群差がみられた。上記結果は、語彙流暢性課題において注意・モニタリング・プランニングなどの実行機能が不可欠であること、またそれが加齢や語彙発達とは独自の認知発達過程を辿ることを示唆している。意義 本研究により、幼児における語流暢性課題の生活年齢、及び語彙年齢による標準値が明らかになった。今後発達障害児の遂行と比較する上で有効だと考えられる。また本研究は、就学前の幼児においても文字流暢性課題が実行可能なこと、従って音韻意識が比較的早期から発達していることを示すものである。発達障害児の言語発達の様相を探る上で、貴重な参考資料となると考えられる。
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Psychiatry Research
巻: 167 ページ: 47-57
脳と精神の医学
巻: 20 ページ: 89-99