研究概要 |
本年度における研究実績は,以下のようなものである。 第一の点は,昨年も行った,日本人児童,および外国籍児童双方に汎用可能な性格検査,特に気質面での基礎的な考察、調査を進めた点である。昨年度は気質研究で名高いCloningerの提唱するTemperament end Character Inventory(TCI)の因子的妥当性を検討することから基礎的な質問紙作りを検討した。しかし,本年度はさらに気質研究を進めて,脳内物質,回路に着目したCrayの気質理論をもとにした反応スタイルの検討を行った。具体的には,日本語版BIS/BAS尺度を利用し,同時にその基準関連妥当性を検討するため,Respose Styles Questionnaire(RSQ)も実施し,両者の下位尺度間の相関を検討した。この成果を群ま大学紀要、教育実践研究にまとめている。その内容は,昨年同様,人間一般に通じる気質、性格研究の一般的考察から始まり,実際に外国籍児童に実施するために不可欠な基礎的研究である。 第二の点は,短期間の内地研究員制度を利用し,第二言語習得の機構を学習した点である。外国籍児童の学級適応を考えるにあたっては,特に第二言語習得の基礎的な知識が,同様に不可欠なものとなる。これを電気通信大学久野雅樹准教授のもとで,言語心理学一般に関する基礎知識の習得も兼ねて,徹底的に行った。 以上的二点の学習、研究成果をもとに,最終年たる平成20年度においては,勤務校で教職大学院が設置されたこととあわせて,実際に教育現場に実習生と協力して研究を完遂させたい。
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