研究概要 |
本研究は、日本の学校・地域社会の成員の異文化受容のスタンスを分析し、彼らの異文化受容を規定している心理的要因を探り、社会的力学の視点から外国人子女とその家族との異文化共生の実践的オプションを提案するものである。 18年度は、日本において小学校、中学校の教師を中心に面接調査を行い、外国人児童・生徒および保護者との相互接触の度合い、接触のし方、そこでの情緒的反応など、彼らが日頃異文化的行動に対して意図的あるいは無意識にとっている態度と、態度決定の背景にある認知のし方など、教師の持つ異文化受容の態度を探った。この面接調査の内容をもとに、教師の異文化状況での心理的プロセスに焦点をあてた質問紙を作成した。 また、アメリカハワイ大学近郊の小中学校を訪問、一般のクラス、移民の子どもたちのためのESLクラス等を訪れ、子どもたちの学習や生活の様子を観察、教師へのインタビューに加え、ハワイ大学教育学部,教育心理、言語教育、カウンセリング領域の教員との意見交換により、ハワイでの多文化教育の現状と問題点を調査した。 ハワイ州はこれまで、日系移民とその子孫が教育現場の主導的立場を占めてきており、ハワイ州の多文化教育のあり方はアメリカ本土の多文化教育とは様相を異にしている。近年、太平洋上の島々からの移民の子弟の増加が著しいこの地域において、学校や地域の異文化受容のあり方を探り、異文化受容を規定する心理的要因の普遍性と特殊性を検討した。
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