日本においては、国内に在住する外国籍を持つ人たちの割合は依然少数であるとはいっても、その人数は着実に増加している。外国人労働者の定住化が進み、それに伴い、多くの市町村では外国人の子どもの教育に関しては深刻な状況にある。外国人子女やその家族が受け入れ国で作る人間関係は、子どもたちが通う学校内だけでなく、日常生活の場である居住地域を中心に、さまざまな人々との接触、交流を通して築かれている。 本研究は、本研究は多文化共生という観点にたち、ホスト社会のマジョリティを学校現場の成員だけに限らず、彼らとその家族を受け入れる地域社会の成員を視野に入れ、自分とは異なる文化的背景や民族的背景を持った外国人児童・生徒とその家族の行動を、受け入れ側である地域住民はどのように認知し、その行動についてどのような感情をもち、どのようにそれに対処しているのか、異文化間トレランスの観点から受け入れ側の異文化受容のスタンスを分析し、彼らの異文化受容を規定している心理的要因を探ることを目的とした。本研究では、在日外国人児童・生徒およびその家族が居住する地域において、地域住民への面接調査、学校教育現場におけるフィールド調査を行ない、データの収集および分析を行なった。その結果、自分とは生活習慣や行動様式の異なる外国人住民と向かい合うとき、そこには異なる他者への違和感、潜在的な恐怖心、怒り、不満が存在し、それらが異文化受容の阻害要因となっていることが明らかになった。それらの意識、無意識の情動にどう向き合っていったらいいのか、どう自己の意識の葛藤に折り合いをつけていくかが今後の課題である。
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