本研究は、絵本の読み聞かせに関する基礎研究と、ADHDを含む発達障害児への継続的な読み聞かせ実践に関する研究から構成されている。基礎研究は、絵本の読み聞かせ実践者に対するアンケート調査、読み聞かせの読み手の行動分析、そして聞き手(健常幼児)の行動分析を行った。また、発達障害児への読み聞かせに関する実践的研究では健常幼児を対象とした時と同様の分析方法に基づいた。研究の結果、本研究の分析で用いた行動指標は読み手の行動のみならず、聞き手の行動を分析するうえで有効であることが認められた。また、聞き手の行動分析に用いた行動指標も、絵本のどのような場面で感情の喚起があるのか、また、読み聞かせ過程での子どもの行動の変化から絵本毎に分析する有効な手がかりになるものであることが確かめられた。さらに、発達障害児への継続的な読み聞かせ実践や、読み聞かせ実践者へのアンケート調査からは、絵本の選択が重要な問題であることが明らかになった。
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