研究目的の中で、(1)日本語文章音読の特性分析、(3)日本人学生の英語文音読の特性分析、(5)日本語文章音読と日本人学生の英語文章音読の比較対照、(6)英語文章音読と日本人学生の英語文章音読の比較対照をおこなった。(1)については、最小句の持続時間および基本周波数の測定をおこない、現在、論文の修正中である。(3)については、基本周波数、鼻音化の測定をおこない、分析中である。(5)は、(3)の結果に基づき、持続時間については、日英語の句末と文末の延長化現象の比較を含めて、発展的な分析を試みている。また、鼻音化現象については、日英語において語レベルと文レベルでおこなった。(6)は、テキストレベルの比較で、英語母語話者の英語文章音読は、文音読の単なる集合でないことが先行研究で示唆されたが、これを確認し、日本人学生がそのような特徴を有しているかどうかを検証した。これについては、現在、作成した論文の修正中であり、新情報と旧情報が持続時間と基本周波数に反映されない傾向が示された。 なお、日本語の音読について、吃音者を新たに被験者として得た。この被験者の事例研究として、聴衆(1名)の有無および間投詞の有無の効果を検討し、とくに聴衆の有無が音読速度、吃音頻度、基本周波数におよぼす効果を確認した。これは、Medical Hypothesesに投稿し、現時点で採択された。ここでは、このパラダイムを展開して、吃音に新たな治療法が提供できるかどうか、また、この緊張度効果が健常者にも当てはまるかどうか、といった新たな問題が提起されている。
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