本年度は、本研究の最終年度にあたり、以下の研究を実施した。 1.中学生299名と232名の2つのサンプルを対象に、中学生版キャリア意識尺度の信頼性と妥当性を詳細に確認した。その結果、教師評定による内容的妥当性、SG式進路発見検査との基準関連妥当性、8週間間隔のテストー再テスト信頼性、2つの対象サンプル間の主成分構造の一致係数のいずれの点でも本尺度が充分に信頼性と妥当性を備えた尺度であることが明らかになった。詳細は、「中学生版キャリア意識尺度の開発」の題目で論文として発表した。 2.高校1年生、2年生、3年生963名を対象に、高校生のキャリア意識の発達とアイデンティティ・スタイルの関連を検討した。その結果、キャリア意識の高い高校生ほど、情報スタイルの認知的処理を使用して自己探求を積極的に行う傾向にあることが明らかになった。詳細は、英語論文として発表した。 3.職場体験学習等のキャリア教育を実践している中学校の2年生を対象に、職場体験学習の前後間でキャリア意識を測定し、上昇群、下降群、不変群の3群を分類し、職場体験学習の効果の有無に関連する要因について検討した。その結果、職場体験学習の経験は中学生の規律性を高めるのに有効であること、職場体験学習から10ヵ月後の追跡調査では下降群のキャリア意識も回復していることが明らかになった。 4.小・中・高校の児童生徒を対象に、約1年後の追跡調査を実施し、キャリア意識の縦断的変化と学校適応感、学習意欲等の心理的要因との関連を発達的に検討した。この研究の詳細は現在準備中であるが、その成果の一部は2009年7月にオスロで開催される国際学会で発表する予定である。
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