研究概要 |
近年、情動知能(Emotional Intelligence,以下EI)が、ヘルスリスクを含めたリスクを負う行動と関連するとの報告がある。しかし、実証研究が進んでおらず、感情能力を高めることがこれらの行動にどのような変化をもたらすかについての研究は、欧米においても日本においても開発途上の段階であり、感情能力に基づく行動変容のプログラム開発が期待されている。本研究の目的は、以下の2つである。 (1)自己や他者の感情を認識し調整する能力が、ヘルスリスク行動や健康促進行動にどのように影響するのかを明らかにすること、(2)従来の健康関連行動を説明する理論で部分的にとりあげられた感情と行動の関連に焦点をあて、健康行動促進のためのより有効なプログラムを試作し、その有効性を実証する。 平成18年度は、調査環境の整備および予備的な調査を行った。 1)感情能力、ストレス、ヘルスリスク行動の関連性についての調査 300人の社会人を対象としたweb上のモニター調査を行い、健康関連行動と感情、および心身の健康の関連についての予備調査を行った。現在詳細の結果を分析中である。調査の結果は、2007年7月に開催されるThe 28th Stress and Anxiety Research Society Conferenceで口頭発表の予定である。 2)感情能力を測る尺度の検討 海外研究協力者Peter Salovey氏/Marc A.Brackett氏と打ち合わせを行いながら、研究協力者のEIリサーチのグループの協力を得ながら、感情能力の測定尺度を開発に着手した。平成18年度は、既存の感情能力測定尺度であるMSCEITを参考に、パフォーマンスアセスメント型の尺度の項目を収集した。
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