研究概要 |
近年、情動知能(Emotional Intelligence,以下EI)が、ヘルスリスク行動など自己制御行動と関連するとされ、感情能力に基づく行動変容のプログラム開発が期待されている。しかし、実証研究が進んでおらず、感情能力を高めることと行動のアウトカムの研究は、欧米においても日本においても開発途上の段階である。本研究の目的は、以下の2つである。(1)自己や他者の感情を認識し調整する能力が、ヘルスリスク行動や健康促進行動にどのように影響するのかを明らかにすること、(2)従来の健康関連行動を説明する理論で部分的にとりあげられた感情と行動の関連に焦点をあて、健康行動促進のためのより有効なプログラムを試作し、その有効性を実証する。 平成19年度は、主に以下の2つの課題を行った。 1)感情能力測定尺度の信頼性および妥当性の検証を目的とした調査の準備を行った。実際の調査を平成20年度に実施する。尺度の信頼性および妥当性の側面から尺度の有用性を実証することにより、感情能力が健康行動にどのように規定するのかが明らかになることが考えられる。 2)研究協力者EIリサーチ(株)と共同で、企業人を対象としたストレスおよび感情のマネジメントに関する自習マニュアルの作成を行った。企業研修の場所で、感情能力や行動特性のアセスメントを受検後、自ら結果を解釈し行動変容することで、心身のネガティブな状態を予防することが可能になると考えられる。有用性を今後の調査研究で明らかにする必要がある。
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