研究概要 |
不登校やいじめなどの学校不適応の発生率が、中学校に進学した後1年で急増する「中1ギャップ」の背景・主たる要因に、小学校後半から中学校1,2年にかけての同世代との人間関係形成と維持の困難と、それに必要とされる社会的スキルの獲得不足があると仮定し、その解消にむけた、社会的スキル教育の効果を確認することが本研究全体のねらいである。具体的には、<1>小学校6年秋期時点での、児童の社会的スキルの獲得状況が、中学校進学後のクラスおよび学校全体への適応感、および学校ストレス反応をどれだけ予測するか、比較的規模の大きい縦断的調査研究で検討すること、<2>介入研究として、小学校5・6年から中学校1年までに行う、社会的スキル訓練が、中学校進学後20ヶ月(中学2年の11月末まで)のクラス・学校適応感や学校ストレス反応の低減に及ぼす影響を、縦断的介入研究として実施し効果を検討すること、の2点を目的とする。 平成18年度中は、小学校5年生から中学校2年までを対象とした、社会的スキル尺度(本人評定および教師評定)、学校適応尺度、学校ストレス尺度などを作成し、その信頼性、および妥当性が確認された。また、各学年における標準化も行われた。同時に調査対象中学校区の中学校と小学校に調査実施の依頼をすすめ、平成19年度からの、研究協力校の児童の社会的スキルの獲得状況および学校ストレス反応の測定について、調査協力を得た。他方で、介入研究の予備的調査として、小学校5・6年から中学校1年までに行う、社会的スキル訓練プログラムを、新潟県内の複数の研究協力校教諭に協力を仰ぎながら、また、県外の小中学校での実践活動、あるいは、当該領域の専門家の資料や助言を仰ぎながら、作成した。児童期における社会的スキル訓練、集団プログラムについてのプログラムについては、海外の資料も収集し検討した。
|