研究課題/領域番号 |
18530534
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
今田 里佳 信州大学, 教育学部, 准教授 (80306670)
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研究分担者 |
原田 謙 信州大学, 医学部, 准教授 (90293513)
島田 英昭 信州大学, 教育学部, 准教授 (20467195)
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キーワード | 時間知覚 / 表情認知 / 状況認知 / 発達障害 |
研究概要 |
表情は、感情表出の方法の一つであり、日常の社会的行動場面で重要である(Barbaraら,2007)。表情表出を社会的な意思伝達の手段と考えると、(1)自己が感情を適切に表現することと、(2)他者がそれを適切に評価することが必要である。本研究では、表情表出能力を、自己が表出したと思っている感情と、他者がその表情を見て判断する感情が一致するように表出を行う「表出の正確さ」と、感情がどれだけ強く表情に表れているかの「表出の強さ」の2つの観点から捉え、社会的スキルの低い人は、表情表出の正確さも強さも低いとの仮説から、表情表出をしてもらい、表出の正確さや表出の強さと社会的スキルにどのような関連が見られるかを検討した。また日常で感情表出する状況として、(a)特定の感情を強く意識して表出する場合、(b)状況を認識しつつ特定の感情を意識して表出する場合、(c)状況を認識しているが特定の感情を意識せずに表出する場合という3つの文脈(教示文脈)を想定し、それぞれの文脈において表出された表情の自己評価と他者評価の違いを比較する指示文の提示によって被験者に表情表出を求めた。結果として、社会的スキル点の高い人ほど、表出の強さの他者評価得点が高かった。また各教示文脈における表情表出課題の感情との一致率の分散分析の結果、表情自己認知課題においては教示文脈の効果が見られなかったが、表情他者認知課題においては教示文脈の効果が見られた。特定の感情のみを強く意識すれば、他者と共有された表情表出が促進されると考えられる。この考えに従えば、表情による感情伝達をする際には、表出する感情の種類を強く意識することが、正確な伝達の条件であると考えられた。
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