研究概要 |
BDI得点で平均+0.5SD以上の大学生男女を3つの群に分けた。認知的再構成群(NR群、n=8)は、不快な感情の際の自己の認知を観察し、変容を試みた。肯定的イメージ群(PI群、n=17)は、不快に対抗できる肯定的な記憶を想起し五感でイメージさせた、RDI群(肯定的イメージ+両側性刺激:N=8)は、肯定的な記憶の想起のまま、胸の前で交差した手で自身の上腕をタッピングさせた。約5回の介入の前後(pretest、posttest)、1ヶ月後、8ヶ月後のフォローアップ(1m-f.u.;8m-f.u.)を測定した。従属変数はBDI得点及び、訓練初日と最終日の訓練前後のPOMSであった。 スクリーニング時点のBDIを共変量として、被験者内1要因(時間=4水準)×被験者間1要因(群=3水準)の共分散分析を行った結果(NR群(n=7)、PI群(n=14)、RDI群(n=6))、いずれも時間の効果が有意で(F(3,29)=26.44,p<.0001)、群と時間の交互作用も有意であった(F(6,46)=3.25,p<.05)。下位検定で、NR群とPI群、NR群とRDI群の比較でpreからposttestにかけてPI群、RDI群がより大きく低下したが、1m-f.u.から8m-f.u.にかけては、CR群がより低下した。認知的再構成と同様、肯定的なイメージ想起も抑うつの軽減には有効であったが、両側性刺激の効果は不明確であった。長期的には認知的再構成が優れている可能性が示唆された。また、POMSの初日の分析では、被験者間1要因(群=3水準)×被験者内(時間=2水準)の分散分析において、疲労尺度で、時間の効果が有意(F(1,30)=13.65、p<.01)、時間と群の交互作用が有意傾向であった(F(2,30)=3.17、p<.1)。活性尺度で、時間と群の交互作用が有意だった(F(2,30)=5,72、p<.01)。初日で肯定的イメージが、認知的再構成、RDIより優れていた。
|