研究概要 |
EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)は、否定的な記憶に焦点を当て、眼球運動や他の両側性の刺激を加えることで、記憶全体を改善し、否定度を下げ、肯定度を上げ、身体的な不快感を改善する方法である。メカニズムは明らかになっていない面もあるが、脳内の記憶ネットワークを仮定し、否定的な記憶ネットワークと肯定的な記憶ネットワークが連想で結びつくことが治療効果のために必要であると考えられている。 否定的な記憶ネットワークの多い、より複雑なクライエントの治療においては、準備段階で肯定的な記憶に焦点を当てるRDI(資源の開発と植え付け)という方法が用いられることが推奨されている(Korn, & Leeds, 2002)。これは肯定的な資源を強化し、対処技術と自己能力を開発する方法である(Leeds,2003)。同定したイメージ想起後、それに付随する認知・感情・感覚を明確にすると同時に、両側性の刺激を加えることで、同定された記憶のネットワーク内における感情強度を自発的に、かつ急速に増進させ、他の肯定的な記憶のネットワークとの感情的に鮮明なつながりを豊かにする(Korn &Leeds,2002)。
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