研究概要 |
マインドフルネスの効果をもたらす構成要素を明らかにするため,Arch & Craske(2006 Behaviour Research and Therapy,44,(12),1849-1858.)の研究を参考に,マインドフルネスはwillingnessとcreative hopelessnessのどちらをもたらすかを実験的に検討した。25名の大学生が呼吸集中エクササイズ(7名;BE)群,心配エクササイズ(9名;WE)群,非集中エクササイズ(9名NE)群に分けられた。参加者は,15分のそれぞれのエクササイズの前後にネガティブ,ポジティブ,ニュートラルな映像刺激を鑑賞し,それぞれの刺激ブロックごとに,情動的反応を測定した。さらに,エクササイズ後にはcreative hopelessnessとwillingnessの程度が測定された。creative hopelessness課題は,ネガティブ映像鑑賞の際に,解決困難課題をクリア出来れば映像が停止する,という状況下で,解決困難課題の試行数が測定された。Willingness課題は,creative hopelessness課題で呈示されたネガティブ映像と非呈示スライドを混ぜた一連のスライドに対する再認課題であった。その結果,いずれもエクササイズ後に,BE群はNE群と比較して,ネガティブ刺激に対してより中性的に反応し,WE群は他の2群と比較して中性的刺激に対してよりネガティブに反応することが明らかとなった。また,BE群とNE群はWEを行ったものよりも,creative hopelessnessが高いことが示された。Willingnessにおいては,各群に差は見られなかった。マインドフルネスエクササイズは,willingnessよりもむしろcreative hopelessnessを高めることで効果を発揮する可能性が示唆された。
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